麻雀放浪記
『麻雀放浪記』は阿佐田哲也の小説(角川文庫)を原作に映画化した作品です。この阿佐田哲也は「朝だ!徹夜」と徹夜麻雀を連想させるペンネームからして面白いです。阿佐田哲也こそ戦後の日本に麻雀を普及させた人物と言ってよいでしょう。昭和40年代以降の麻雀ブームの火付け役であることは間違いありません。敗戦で混乱し瓦礫が広がるドヤ街を舞台に博打とヒロポンが横行している世界感は当時のリアリティを感じます。麻雀より賭博師の生きざまが中心で娯楽としても楽しめます。また84年公開の作品にも関わらずモノクロ撮影を選んだことで戦後の時代背景が伺えます。この映画の批評は「麻雀を知らなくても楽しめる」「若い真田広之と大竹しのぶの名演が素晴らしい」「配役が個性的でバイプレーヤーも主役級だ」と色々な意見があるのも分かります。「ヒロポンを打つシーン」は映倫にマークされるシーンで今だとR-18指定になるでしょう。麻雀指導はトップジャン師、雀鬼・桜井章一やジャンプロ荒正義が名を連ねており、麻雀というゲームのシビアさをイカサマやチンチロリンや積み込みなどジャンプロの目線でないと指導できないシーンが多く見られます。麻雀経験者の憧れの役(上がり手)である役満がイカサマや積み込みで連発するのでスピード感があり、スリリングな勝負の醍醐味が味わえます。『麻雀放浪記2020』は1945年から2020年に主人公がタイムスリップするという設定でリメイクされ麻雀ファンたちは期待していました。しかし2019年3月12日にピエール瀧がコカインを使用したとして麻薬取締法違反容疑で逮捕されます。これを受けて番組の打ち切り・放送休止や代役を起用して再撮影などの対応がされました。本作においては当初の予定通り4月5日にノーカットで劇場公開されました。しかし、この騒動により、「麻雀」のイメージが悪くなったのは残念です。