アキラとあきら
最終更新:2022/10/23
池井戸潤原作の銀行を舞台にした話ですが、半沢直樹とは違って、後味のいいさわやかな映画です。恋愛映画の名手と言われる三木孝浩監督が描いてるので、光の美しい場面もあります。長い原作を、約2時間にうまくまとめられています。説明セリフもなく、無駄なシーンは一つもありません。アキラとあきらの真逆な信念が一つになっていく様子は、心躍る展開でした。竹内涼真・横浜流星の若い2人が、大学を卒業して銀行に就職してからの約10年を演じていて、まさに少し大人の青春を感じさせてくれます。熱い、ずっと変わらず熱いアキラは竹内涼真くんにぴったりでしたし、親戚との確執を嫌悪したものの、家族の思いを感じて変わっていくあきらを演じる横浜流星くんの表情の細かな変化が素晴らしかったです。厳しい信念を持つ江口洋介さんが演じる上司、ユースケ・サンタマリアさんが演じるアキラの叔父がまた素晴らしくて、憎らししいほどでした。バックナンバーン主題歌・ベルベットの詩もぴったりで、エンドロールは聞きながら泣いてしまいます。自分のままで生きて、「人生は素晴らしい」そう言えたらいいなと思い、一緒に口ずさみながら涙が止まりません。もともと日曜劇場の池井戸作品が好きな方には物足りないのかもしれませんし、苦手な人は避けてしまいそうです。そのような理由で観ないのはもったいない、分かりやすくて、温かく前向きになれる映画です。これから社会に出る若者にも、すでに一仕事を終えた人にも、元気をくれます。