エリザベス:ゴールデン・エイジ
ごく普通の少女が女王となることへの決意までの心境の変化がわかりやすく共感を覚える内容と共に、一生独身を貫いたエリザベス女王1世の生涯のお話です。女性が国を護る為に己の精神を鍛錬していく生き様に魅了されます。裏切りや憎しみを経て、女王という立場に君臨する意味を決断する姿には美しさを通り越して迫力のある圧さえ感じられます。国を統治する立場とは?性別を超えての力強さと潔さを感じられます。史実を知らない方も一度ご覧になられると美術的観点からも魅了されると思います。映像の美しさは衣装の全体はもちろん、細部まで、そして建築に関しては既に1585年に、これほどまでに完成していたのか!と驚きもあります。当時はスペインが最強とされていた時代にイギリスが築き上げた歴史の観点をエリザベス女王を通して学べる事も多いので今現在のイギリスに至るまでの歴史を知る意味でも入りやすい内容です。ちなみに日本は豊臣秀吉公が太政大臣となり豊臣の姓を賜った頃の時代です。日本も戦の時代ではありましたが、遠く離れたヨーロッパでは様々な国が女王に面会する場面もあり、その国々の衣装も見どころです。美術・デザインを学ばれている方でしたら、きっと画面の中の美しさに見惚れながらも無宗教である今の日本人には想像できない程の宗教戦争の内容に触れる事により、美術とは宗教が生み出してきたことも理解できます。歴史的観点から見ても素晴らしいですし、一個人の生涯として見るのも勉強になります。ヨーロッパが発展してきた歴史を知ることで、改めて、日本の歴史を学ぶと様々な発見もあります。一番感情を揺さぶられる鑑賞方法はエリザベスという一人の女性が置かれた立場により変化していく心理的観点でストーリーを見ていく事がよろしいかと思います。実際に映画の内容も女性の生涯をテーマにしたヴァージンという言葉を用いて紹介されています。生まれてすぐに女王になる訳ではなく、段階を経て女王に相応しい人間となっていくのがわかると、自分以外の人間の生涯というのも別物であり、その個々人が様々な経験を経て、今現在、そのような人柄となっているということまで味わえます。女性だけではなく男性にもお薦めの映画です。