インター・ステラー
ノーラン監督作品特有の“小難しさ”に頭がこんがらがることもなく、シンプルにすさまじく楽しい映画で、僕の中ではノーラン監督作品の中で一番好きな映画です。 なぜ本作がそんなにもよかったのか。 それは、僕が今までのノーラン監督作品をあんまり好きじゃない理由の裏返しでもあるんですが、本作は基本的にかなり理解しやすいんですよ。 ノーラン監督の過去の作品って、一言で言えばめちゃめちゃわかりにくいと思うんですよ、「難解」といいますか。 その難解さの最大の原因は「映画の中で語られないことが多すぎる」という特徴にあるんだと思います。 作中には4本の角柱を組み合わせたような元海軍用のロボットが登場しますが、ターズはお喋りなので、ケースはそのぶん無口です。彼らの会話やジョーク、特にターズとクーパーとの会話と関係性がとても良い。大体の映画は展開のパターンがいくつか連想されてどれかに合致することが多いけど、これは絶対に読めませんし、期待以上の結末を見せてくれました。3時間弱という長めの作品ですが、長くてだれるとか退屈を感じるということも無かった。 脚本や構成が良かったこともあるんでしょうが、映像自体に迫力があってすごくいい。更に映像と音楽・効果音との一体感がすごかったのもあるかもと感じました。それで名前を調べてみるとハンス・ジマーでした。 最近のSF映画のパキっとしたCG全開グラフィックではなく、フィルムの粒を感じられる絵づくりは色気があってステキだし、『2001年宇宙の旅』をオマージュしたと思しきシーンの数々はグッときます。 物語終盤、クーパーとTARSが小型宇宙船に乗り込むシーンも、明らかにX-ウィングに乗り込むルークとR2-D2を意識していたり。それでいてTARSのビジュアルはモノリス!! 明らかなSF映画ファンへのサービスにあふれいるのがたまりません。 まさに、『2001年宇宙の旅』に始まるSF映画に当時感じていた“ワクワク感”を、今の時代の新作映画としてしっかり納得できる解釈でまとめあげた傑作です!