青の帰り道
最終更新:2022/10/28
藤井道人監督の青春群像劇です。7人の若者たちの、夢と、上手くいかないことに対するいら立ちに、忘れていた思いがよみがえります。大きな夢を追うよりも、小さな幸せを見つける方が賢明なのかもしれないと思ったり、「何かでっかいことをやる」っていうけど、何かって何?と思ったり。いるようなあ、こういう口ばかりの子って、となんだかいとおしくなってきます。それぞれがせいいっぱい生きていく中で、傷つきながら少しずつ成長していきます。悲しい出来事を経てまた友人たちの心が一つになります。悲しさをいやすために恋愛ににげることはないところが好きです。新聞記者以前、まだあまり有名じゃない頃の監督作品です。ブレイク前の横浜流星くんが監督の思いれのあるリョウを演じています。田舎の不良が都会の半グレになる姿は、かなりかっこいいです。工藤夕貴さんが演じる母親が素晴らしいです。清水くるみさんが演じる娘との、実の親子だからこそのうまくいかない確執、せつなくなります。社会的、政治的なニュースも間に挟むことでリアリティーが増しているところも好きです。タバコのポイ捨て禁止が法律で決まったと、掃除しているおじいさんにとがめられて、素直に応じるリョウがかわいくて、好きなシーンです。リョウの素直さが現れていると思います。この作品で藤井監督と横浜くんが出合い、多くの作品が生まれています。2023年公開予定の「ヴィレッジ」も期待していますが、いつか「青の帰り道」の続編も作りたいと話していて楽しみです。