運び屋
最終更新:2022/10/30
クリントイーストウッドが監督と主演をしている映画です。彼の最近の映画は、自信がおじいさん役でいわゆる頑固な性格で融通の利かない役をずっと演じています。この映画も仕事ばかり、家族を顧みない90歳になる花作り農園を営む老人が主人公です。かつては腕利きで評判のよい花作りをしていましたが、時代の流れに付いて行けず農園を手放すことになってしまいます。お金も仕事もなく、また実の娘には口も聞いて貰えず、離婚した元奥さんだけが少し話を聞いてくれています。孫の結婚パーティーにも来るのですが、頑固さが仇となってぞんざいに扱われてしまいます。その時に若者から仕事を紹介すると名刺を渡されました。実はその仕事は、麻薬の運び屋で今まで違反や事故を起こしたことのない主人公に目を付けたギャングの下働きでした。ある時、自分の運んでいるものが麻薬だと知り、知らないうちに犯罪に手を染めることになるのです。イーストウッドは若い頃に西部劇や刑事など正義の味方をたくさん演じていて、少し癖のある個性が魅力でした。アクションをメインとしていた時は、いかにもアメリカの男っぽさを前面に出していて、とてもクールで格好いい役者です。2000年代になって自信が年を取って、このままメインから一歩引いてよいおじいさん役をやるのかなと思ったら、映画を作るのも出るのも益々好きになって来ているようで、まだまだこれからの活躍が楽しみです。この映画の感想は、誰しも年老いていくと頑固になり、周囲に迷惑をかけてしまうものです。本心ではないはずでも、どうしても素直になれない姿がとても切ないです。最後には少し家族との距離が縮まるのですが、自分に課せられる人としての責任を素直に全うし、映画は静かに終わります。