明日に向って撃て!
『明日に向って撃て!』は実在の銀行強盗ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの逃避行を題材にした西部劇です。1960年代には西部劇は下火になっている中でポール・ニューマンが脚本を買い取り主演した作品で彼の情熱を感じます。また無名のロバート・レッドフォードの出世作でもあります。振り返って見ればダブルスターの競演言える作品の高評価は納得できます。何回観ても実話からイントロとラストを脚色しているので飽きることはありません。アメリカの西部開拓時代はこんな荒くれ者が実際にいたんだと犯罪のスケールの大きさを感じます。犯罪者でお尋ね者のコンビをポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの息の合ったはまり役とはこのことでしょう。冒頭のサンダンス・キッドのポーカーシーンは本作品に吸い込まれます。サンダンス・キッドは早打ちガンマンとしてブッチ・キャシディは悪知恵者とキャラ設定されています。二人が列車強盗を繰り返すと鉄道会社はついに最強の刺客ピンカートン探偵社を雇います。ここからふたりの盗飛行が始まります。ゴールドラッシュで湧く南米ボリビアに逃げ込みます。ボリビアは貧しい国です。当時のアメリカ人がボリビアをゴールドラッシュに湧く状況だと思ったことに時代背景を感じます。当時のアメリカ開拓民は未開の地が魅力的に見えたのでしょう。ボリビアで再び銀行強盗を重ねて悪名を轟かせます。その後ふたりは足を洗ってアメリカで普通の生活を送ります。しかし、お尋ね者であることに変わりはなく警察に通報されて警察隊との銃撃戦でブッチとサンダンスは追い詰められます。建物の中に逃げ込んだが完全に包囲され絶望的な状況となります。クライマックスシーンは「次はオーストラリアに行こう」とブッチとサンダンスは銃を構えて外へ飛び出したところです。ここで映画は終わりますが後の結末まで描かないラストシーンは『明日に向って撃て!』にぴったりです。B・J・トーマスのヒット曲「雨にぬれても」は日本でもお馴染みです。