ドクター・デスの遺産

手堅く面白かったって感じですね。 安楽死を巡る実在の医師をモデルにした…と言う部分がどう活きたかと言われると微妙なところ。 人間の安楽死の是非について問うような社会派の作品ではなく殺人事件を巡るエンターテイメント作品なので、良く言えばライトに見ることが出来、悪く言えば薄味。 他の方も指摘しているが、映画という大きいスケール感を魅せるような展開は確かにない。事件の特性上、ド派手な爆発やアクション、カーチェイスなんかもないので画力に欠けるのも確か。 展開も割と読みやすい(というか予告編で見せすぎ)し、遺族に守られてる的な話なはずなのに皆アッサリと安楽死認めるし(犯人像は濁したが)、犯人側の展開も読みやすい。その部分でもマイナスか。 やはり見所は犯人役の演技力のさすがっぷりだろうか。登場時と終盤での見事な変化はお見事の一言。 あの御大もさすがのパフォーマンスを見せてくれるのでその辺が見所か。 ド派手に物語は進まないし、淡々としているが普通に見れる作品 あの2人でバディもので連ドラやった方がいいのでは? 子供からの通報で明らかになったのは、人々を安楽死に導くドクターデスの存在警視庁No.1コンビの刑事が挑む… ドクターデスの存在が明らかになってからは、意外と遺族も安楽死の依頼は認めてる(犯人の似顔絵はごまかしたけど) 安楽死という今でも争われるテーマとそれに関する遺族ということもあり、もう少しそこの葛藤というかジレンマを描く余地はあっただろう。 もう少し捜査がなかなか進まないとかそういう展開もないし、安楽死ということに対する捜査への葛藤も居酒屋で語る程度の扱いで軽め ここからネタバレ多め 柄本明は声ですぐ分かったなぁ 似顔絵のウソを暴いてくシークエンスもドラマ不足な感じだし、大捕物感も残念ながらない。 不遜な演技はさすが 木村佳乃は最初の登場は分からないくらいの雰囲気とメイクで女優だなぁって思いましたね(最近バラエティで発揮してる力とはやはり違う) 彼女の真の姿が発揮される後半の展開は(予想通りの展開だろうが)それでも変貌っぷりがさすがという感じで、素晴らしい。 安楽死をすることで救っている神のような存在だと言い張る彼女だったが、その実、人の死ぬ様を見たいようなサイコパスな感じで…なんでしょうか、ぶれてる気がする。 真に安楽死へと導くことを目的にしてるなら、綾野剛の娘をたぶらかし死へと導くような展開はなしになるが、ある意味そういう展開で個人的には勝負してほしかった、安楽死の是非を巡るどっちにも共感できるような内容で勝負してもいい題材なので惜しさも感じる。 綾野剛への復讐に走らないで、また闇に消えながら人々の救済として暗躍する様に翻弄される刑事達が出す結論をグッと見せることで安楽死に対する解答を(生を守る側としての１つの結論)出したらド派手な展開がなくとも盛り上がったのでは？ 娘を救えるかどうかの瀬戸際なら、北川景子を殴らず(どうせ監視の目なんてないのだから)こっそり応援を頼むように上手く手を回すとかすればいいのに…とか思っちゃうし、ラストの蹴り飛ばして逮捕なのも浅い感じ。 やっぱり色々と粗が見えてきたな…という感じですが、見た後すぐにはそれなりに面白かったな～ぐらいには楽しめたのであんまり深く考えず見ましょう